問題

拡散音場とみなせる工場内で、音響パワーレベルが85dBの機械が稼働している。同じ機械をさらに2台導入することにしたが、内壁を吸音処理することによって、室内平均音圧レベルが増加しないようにしたい。室内の平均吸音率は少なくとも何倍にすればよいか。なお、室内の総表面積は500m2であり、機械の導入及び吸音処理の前後でその面積は変わらないものとする。

  • 1√3
  • 2 3
  • 3 2√3
  • 4 6
  • 5 6√3

解説

この問題は、工場内に機械を増設した際に、室内平均音圧レベルを維持するために必要な「吸音率の倍率」を計算するものです。

1. 増設後の音響パワーレベル(LW)の算出

まず、同じ機械を2台追加して合計3台になったときの、全音響パワーレベルを求めます。

元の機械1台:85 dB

デシベルの和の計算:

85 dB + 85 dB = 88 dB (同じレベルを2つ足すと +3 dB

88 dB + 85 dB = 90 dB (レベル差が3 dBの場合、大きい方に +2 dB 加算)

したがって、増設後の全音響パワーレベル LW2 90 dB となります。

2. 室内平均音圧レベル (Lp) と吸音の関係公式

拡散音場における室内平均音圧レベルの公式は以下の通りです。

Lp = LW + 10 log 4/A

ここで、A は等価吸音面積(表面積 S × 平均吸音率 α)です。

3. 音圧レベルを一定に保つための条件

増設前(1台)と増設後(3台)で Lp を同じにするための条件式を立てます。

85 + 10 log(4 / (S × α1)) = 90 + 10 log(4 / (S × α2))

α1:元の吸音率、α2:対策後の吸音率)

この式を整理すると、吸音率の比率を求める式が得られます。

  • 5 = 10 log(4 / (S × α1)) – 10 log10(4 / (S × α2))
  • 5 = 10 log10(α2 / α1)
  • 0.5 = log10(α2 / α1)

4. 吸音率の倍率の算出

log3 0.5であることを利用します。

α2/α1 = 100.5 3

したがって、室内の平均吸音率を 3倍 にすれば、機械を3台に増やしても平均音圧レベルは上昇しません。

計算のポイント

デシベルの足し算:

同じ強さの音源が2倍になれば +3 dB3倍になれば約 +5 dB になるという法則を覚えておくと計算がスムーズです。

吸音と音圧の関係:

音響パワーが 5 dB 上昇した場合、それを打ち消すためには吸音能力(吸音率)も 5 dB 分(対数で 0.5 相当、つまり約3倍)高める必要があるという直感的な理解が重要です。

常用対数の近似値:

log 2 0.3 log 3 0.5 は非常に頻繁に使用します。

 


正解.

3


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