2-25 同定と定量
検出下限及び定量下限
- ダイオキシン類の測定は,非常に低い濃度の測定であり,測定に使用する装置,測定条件及び測定操作等により測定精度が大きく変動しやすい。
- JIS では,様々な濃度範囲において一定のレベル以上の測定精度を常に維持できるように,検出下限及び定量下限を,最終の測定段階で検出・定量できる最小量として定義した。
- 使用する測定装置の感度及び精度によって決まる「装置の検出下限及び定量下限」と,前処理方法を含めた測定操作全体の精度によって決まる「測定方法の検出下限及び定量下限」の 2 種類を定義した。
- 「測定方法の検出下限及び定量下限」を基にして,実際の試料において検出及び定量できる最小濃度として「試料における検出下限及び定量下限」を求める。
- 試料における検出下限以上と定量下限以上の値とは区別して報告する。
ガスクロマトグラフィー質量分析法
- ダイオキシン類の同定と定量は,キャピラリーカラムを用いるガスクロマトグラフィー質量分析法によって行う。
- 分解能は 10000 以上が要求されるが,使用する内標準物質によっては 12000が必要である。
- 10000 以上の分解能での測定を維持するため,ロックマス方式による選択イオン検出(SIM)法で検出し,保持時間及びイオン強度比からダイオキシン類であることを確認した後,クロマトグラム上のピーク面積から内標準法によって定量を行う。
- GC で設定した条件における各化合物の分離状況をフライアッシュの抽出液などの試料を測定して確認しておく。
- MS では,標準物質及び内標準物質の塩素化物ごとに,二つ以上の選択イオンの m/z とロックマス用の選択イオンの m/z を設定する。
- 校正用標準試料のモニターイオンのクロマトグラムで,測定対象化合物の出現時間においてシグナルに ±20 %を超える変動が認められた場合には,その化合物については定量してはならない。
- 各検量線作成用標準液を 1 濃度水準に対して最低 3 回 GC‒MS に注入し,全濃度領域で合計 15 点以上のデータをとる。
- 各標準物質及び内標準物質のピーク面積を求め,各標準物質の対応するクリーンアップスパイク内標準物質に対するピーク面積の比及び注入した標準液中のその標準物質と内標準物質の濃度の比を用いて検量線を作成し,相対感度RRFcs を算出する。
- 検量線作成時の RRFcs は変動係数が 10 %を超えてはならない。
- 検量線作成用標準液の中から一つ以上を選び RRFcs を求め,この相対感度が検量線作成時の RRFcs に対して ±10 %以内であれば,検量線作成時の相対感度を用いて測定を行う。
- 保持時間が 1 日 ±5 %以上、内標準物質との相対保持比が ±2 %以上変動する場合には、その原因を取り除き、その直前に行った一連の試料の再測定を行う。
- クロマトグラム上において,ベースラインのノイズ幅(N)に対して 3 倍以上のピーク高さ(S)であるピーク,すなわちピーク高さで S/N = 3 以上となるピークについて,ピークとして検出する。
- 各標準物質及び内標準物質のピーク面積を求め,各標準物質の対応するクリーンアップスパイク用内標準物質に対するピーク面積の比と注入した標準液中のその標準物質と内標準物質の濃度の比を用いて,相対感度 RRCS を求める。
ダイオキシン類の同定
モニターした二つ以上のイオンにおけるクロマトグラム上のピーク面積の比が標準物質のものとほぼ同じであり,塩素原子の同位体存在比から推定されるイオン強度比に対して ±15 %以内(検出下限の 3 倍以下の濃度では±25 %)であれば,そのピークはダイオキシン類によるものであるとする。標準物質のない化合物の同定は,分析に用いたカラムのクロマトグラム上における溶出順位を参考にして行う。
検出下限
- 4塩素・5塩素化合物:0.1pg
- 6塩素・7塩素化合物:0.2pg
- 8塩素化合物:0.5pg
- コプラナーPCB:0.2pg
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