騒音規制法における騒音の測定方法は、「騒音計の指示値が不規則かつ大幅に変動する場合は,測定値の 90 パーセントレンジの上端の数値を騒音の大きさとする。」とされています。
この90パーセントレンジの上端の数値は、時間率騒音レベルと呼ばれます。
同様に振動規制法においても、大幅に変動する場合は、80パーセントレンジの上端値とされています。
これらのNパーセントレンジは、令和6年騒音・振動特論問14で以下のように問われました。
令和6年騒音・振動特論問14
時間率騒音レベルに関する記述中,(ア)~(エ)の中に挿入すべき語句の組合せとして,正しいものはどれか。
騒音規制法では,騒音の大きさの決定を「騒音計の指示値が不規則かつ大幅に変動する場合は,測定値の90パーセントレンジの上端の数値とする」と規定している。90パーセントレンジの上端の値は統計的に求められ,時間率騒音レベル (ア) という。この量記号 (ア) は,その騒音レベル以上の騒音が全測定時間の (イ) パーセントを占めることを表している。また,JIS Z 8731:2019では,ある時間範囲Tについて騒音レベルの累積度数分布が (ウ) パーセントに相当するレベルを,Nパーセントに相当する時間率騒音レベル (エ) と規定している。
正解
(ア) LA5 – (イ) 5 – (ウ) (100-N) – (エ) LAN,F,T
これら、選択肢の語句について、具体的な数字を当てはめて考えます。
例題(令和6年騒音・振動特論問30改)
工場敷地境界線上において測定した騒音レベルを5秒間隔で100個読取り,下表の度数分布の結果を得た。この地点におけるLA5 、LA10 、LA90 、LA95をは約何dBか。
(1)この地点におけるLA5 、LA10 、LA90 、LA95をは約何dBか。
(2)この地点における80パーセントレンジの上端値と下端値の差、90パーセントレンジの上端値と下端値の差約何dBか。
解説
(1)この地点におけるLA5 、LA10 、LA90 、LA95をそれぞれ約何dBか。
LA5
このレベル以上の騒音が全測定値の5%を占めることを表します。この測定では、測定値が100個あるので、最大レベルから数えて5番目が入っているレベルが該当します。
最大レベルは61dBで4つ、5番目は60dBになるため、LA5は60dBになります。
LA10
最大レベルから数えて10番目が入っているレベルが該当します。
最大レベルは61dBで4つ、次の60dBは8つあるため、LA10は60dBになります。
LA90
最大レベルから数えて90番目が入っているレベルが該当します。
最小レベルの49dBからは10番目になるため、LA90は51dBになります。
LA95
最大レベルから数えて95番目が入っているレベルが該当します。
最小レベルの49dBからは5番目になるため、LA95は50dBになります。
(2)この地点における90パーセントレンジの上端値と下端値の差、80パーセントレンジの上端値と下端値の差はそれぞれ約何dBか。
90パーセントレンジの上端値と下端値の差
90パーセントレンジとは、全測定値のうち最大レベルから上位5%、最小レベルから下位5%を除き、残った90%を意味します。
90パーセントレンジの上端値はLA5、下端値はLA95に該当します。
したがってその差は、60-50=10dBとなります。
80パーセントレンジの上端値と下端値の差
80パーセントレンジとは、全測定値のうち最大レベルから上位10%、最小レベルから下位10%を除き、残った80%を意味します。
80パーセントレンジの上端値はLA10、下端値はLA90に該当します。
したがってその差は、60-51=9dBとなります。
まとめ
90パーセントレンジの上端は、残った90%の上端なので、上位5%となります。上位10%では80パーセントレンジの上端になるので間違いです。
規制基準の測定をするうえで重要な考え方になるので、混同しないように覚えましょう。