2-2　バグフィルター

集じん方法

• 新しいろ布や払い落し直後のろ布のように捕集粒子量の少ない段階においては，慣性力，遮り，拡散，重力などの機構により，繊維内に捕集される「内部ろ過」によりダストが捕集される。 
• ろ布表面近くがダストで埋め尽くされると，ろ布表面全体で粒子径によらずほぼ完全に捕集され，ダスト層が形成されるようになる。
• ダスト層は，空隙率が 80 ～ 85 ％程度と多くの細孔を持つ堆積層となる。

ダストの払い落とし

• ダスト層によるろ過では，ガスの流通抵抗が大きくなり，圧力損失が増加するので，ときどき堆積ダストを払い落とす。
• 間欠式ダスト払い落とし方式は，集じん室を密閉して払い落としをするので，清浄ガス中へダストが逸出することがなく，高い集じん率が期待できる。
• 連続式ダスト払い落とし方式は，集じん室のガス流れを停止せずに各ろ布の付着ダストを順次，連続的に払い落とすので，装置の圧力損失の変動が少ない。
• 集じん率は，払い落し直後には低下するが、一次付着層の形成により払い落し回数が増えると低下の幅は小さくなる。 

性能等

• バグフィルターのダイオキシン類分離性能は低温ほどよくなる。
• バグフィルターへの活性炭吹込みにより，気相のダイオキシン類を吸着除去できる。

圧力損失

• バグフィルターの圧力損失 Tp は，ダスト層とろ布自身の圧力損失の和である。
• 織布製のろ布では Δp は見掛けろ過速度に比例する。
• 未使用の織布製のろ布の場合，ろ布自身の圧力損失はダスト層の圧力損失に比べて無視できる。
• 不織布製のろ布は一般に厚さが 2 ～ 3 mm と厚く表面に膜加工をしたものもあるので，ろ布自身の圧力損失は必ずしも無視できない。
• ダストの空隙率が少し変わるだけで，ダスト層の圧力損失は大きく変化する。
• 不織布製のろ布では，ダストが堆積すると空隙率が小さくなるので，ろ過速度を u とすると Δp∝un の関係になる。指数 n は 1.5 ～ 2 である。

見掛けろ過速度

• 処理ガス流量をろ布の有効ろ過面積で割った値である。
• 装置の特性を示す指標として使用される。
• ろ布自体の空隙率が小さい場合は，小さい値がとられる。
• 値が小さいほど，より確実なダストの分離が可能になる。
• おおよそ 0.2 ～ 6 m/min の範囲で使用される。

ろ布の形状と特性

• ろ布材には植物繊維，合成繊維，金属繊維製の織布や不織布あるいは焼結体などがある。
• 大半は，円筒形あるいは封筒形として使用される。
• 高い捕集特性以外にろ布材が備えておくべき特性には，低圧力損失，払い落としの容易さ，耐熱性，耐薬品性，高機械的強度，長寿命などがある。
• 処理ガス温度が 150 ℃程度までの場合はポリエチレン繊維の織布、250 ℃程度までの場合はガラス繊維の織布が用いられてきた。
• 耐酸，耐熱用として黒鉛繊維，静電気を帯びた高電気抵抗ダストの処理にステンレス繊維を織り込んだものなども用いられる。

 

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