H29 騒音・振動概論 問10
問題
周波数重み付け特性A(A特性)に関する記述として,誤っているものはどれか。
⑴ A特性は,人の聴覚の周波数感度特性を考慮して作られている。
⑵ A特性は,等価騒音レベルの測定に用いられる。
⑶ A特性音圧レベルは,騒音レベルと呼ばれることがある。
⑷ A特性音圧レベルと音の大きさのレベルとの間には,おおむね相関関係が成立する。
⑸ A特性音圧レベルが 40 dB の純音の大きさは,周波数によらず常に 1 soneである。
解説
問題のポイント
この問題が何を問うているのか
本問題は、騒音測定の最も基本的な指標である「周波数重み付け特性A(A特性)」の定義・役割と、人間が感覚的に感じる「音の大きさ(ラウドネス:単位sone(ソーン))」との関係について、正しい理解ができているかを問う問題です。
問題を解くために必要な知識
- A特性(A特性音圧レベル)の定義と一般的な呼称(「騒音レベル」と呼ばれること)。
- A特性が用いられる評価量(等価騒音レベル LAeq など)。
- 音の大きさ(ラウドネス:単位sone)の定義(1000 Hz、40 dB の純音の大きさを 1 sone とする)。
- A特性補正は人間の聴覚特性(約40 phonの等ラウドネス曲線)を近似した固定フィルターであり、周波数や音圧の違いによって人間の実際の聴感覚(soneやphon)とはズレが生じるため、A特性音圧レベルが同じ数値(40 dB)であっても、すべての周波数で常に 1 sone になるわけではないこと。
正解
正解:5
理由:
1 sone(ソーン)とは、「1000 Hz、40 dB(=40 phon)の純音の大きさ」と定義されています。
A特性補正は人間の聴覚特性を考慮して作られた固定のフィルターですが、実際の間の耳の感度(等ラウドネス曲線)は周波数や音の強さによって複雑に変化します。そのため、A特性音圧レベルが 40 dB であっても、周波数が変われば実際に人間が感じる音の大きさ(sone)は変動し、常に 1 sone になるわけではありません。したがって、選択肢5が誤り(本問の正解)となります。
基礎知識
1. 周波数重み付け特性A(A特性)
物理的な空気の圧力変動である「音圧レベル [dB]」に対し、人間の耳の聞こえ方(低音域には鈍感で、高音域には敏感であるという感度特性)に合わせた補正(フィルター)を行ったものです。
A特性補正を行った音圧レベルを「A特性音圧レベル」といい、一般に「騒音レベル(単位:dB)」と呼ばれます。
2. 等価騒音レベル(LAeq)
不規則に変動する騒音の全エネルギーを時間平均した指標であり、A特性音圧レベル(騒音レベル)をベースにして計算されます。
3. 音の大きさ(ラウドネス:単位 sone)
人間が主観的に感じる「音の大きさ(うるささ)」を数値化した指標です。
・定義:1000 Hz、40 dB(=40 phon)の純音の大きさを「1 sone」と定義しています。
・特徴:10 phon 上がるごとに、人間が感じる音の大きさ(sone)は約2倍(50 phon = 2 sone、60 phon = 4 sone)になります。
4. A特性と音の大きさ(sone)の関係
A特性は、約40 phonの等ラウドネス曲線を模して作られた単純な固定フィルターです。しかし、実際の聴覚の感度は音の強さや周波数によって複雑に変化するため、A特性音圧レベルが同じ値(40 dB)であっても、あらゆる周波数でピタリと 1 sone(40 phon)の大きさになるわけではありません。
選択肢ごとの解説
⑴ A特性は,人の聴覚の周波数感度特性を考慮して作られている。[正しい]
人間の耳が低い音に鈍く、高い音に敏感であるという「聴覚の周波数感度特性」を考慮して作られたフィルターであるため、正しい記述です。
⑵ A特性は,等価騒音レベルの測定に用いられる。[正しい]
環境基準や工場騒音の評価に使われる等価騒音レベル(LAeq)は、A特性音圧レベルのエネルギーを時間平均したものであるため、正しい記述です。
⑶ A特性音圧レベルは,騒音レベルと呼ばれることがある。[正しい]
JIS規格や騒音規制法において、A特性補正を行った音圧レベル(A特性音圧レベル)の一般的な呼称が「騒音レベル」であるため、正しい記述です。
⑷ A特性音圧レベルと音の大きさのレベルとの間には,おおむね相関関係が成立する。[正しい]
A特性は人間の聴覚特性を近似したものであるため、A特性音圧レベル(dB)が高くなれば、感覚的な音の大きさのレベル(phon)や音の大きさ(sone)も高くなり、全体としておおむね良い相関関係が成立します。
⑸ A特性音圧レベルが 40 dB の純音の大きさは,周波数によらず常に 1 soneである。[誤り・正解]
1 sone の定義は「1000 Hz、40 dB」の純音の大きさです。A特性補正は簡易的な固定フィルターであるため、周波数が違えば実際に感じる音の大きさ(sone)は変動し、常に 1 sone になるとは限りません。したがって、この記述が誤り(正解)となります。
【試験対策上のポイント】
1. 同義語と評価量の関係を押さえる
・「A特性音圧レベル」=「騒音レベル」
・「等価騒音レベル(LAeq)」= A特性音圧レベルの時間平均値
この関係性は法規および概論の文章問題で超頻出です。
2. sone(ソーン)と phon(フォン)の基準関係を覚える
・40 phon = 1 sone(基準は 1000 Hz、40 dB の純音)
・10 phon 上がるごとに sone の数値は2倍(倍々ゲーム)になる。
3. A特性の性質と限界を理解する
A特性は非常に使いやすい優れた指標ですが、あくまで固定の近似フィルターです。「あらゆる周波数や音量において、人間の主観的な感覚量(soneやphon)と常に100%完全一致するわけではない」という点が、引っ掛け問題のポイントとなります。
【最終まとめ】
- A特性音圧レベル(騒音レベル)は、人の聴覚特性(低音に鈍く高音に敏感)に合わせた補正を行ったものである。
- 1 sone の定義は「1000 Hz、40 dB(40 phon)の純音の大きさ」である。
- A特性は近似フィルターであるため、A特性音圧レベルが 40 dB であっても、周波数が異なれば実際の音の大きさ(sone)は変動し、常に 1 sone になるわけではない。
- 「A特性音圧レベル=騒音レベル」であり、等価騒音レベル(LAeq)など各種評価量の基礎となる。
次の問題だよ~♪

すみません、解説がよく分からないです。何が「したがって」なんですか?
ご質問ありがとうございます!
この解説の「したがって」は、言葉足らずで本当に分かりづらいですよね。
受験生の方が一番混乱するのは、「周波数による感覚の違いを『補正している』のがA特性なら、補正された後の値(40 dB)は、どの周波数でも『常に 1 sone(同じ大きさ)』に揃うんじゃないの?」と思ってしまう点です。
実は、解説で省略されている「A特性の限界(からくり)」を補うと、「したがって」の意味がスッキリ繋がります。
1. 解説で省略されている「隠れたロジック」
解説文の裏には、以下の思考プロセスが隠れています。
1. A特性とは何か?
人間の耳の感度(40 phonの等ラウドネス曲線)を「大まかに真似(近似)して作った電気フィルタ」に過ぎません。
2. ここがポイント(解説で抜けている部分!)
A特性はあくまで「大まかな近似フィルタ」なので、人間の実際の耳の聞こえ方(soneやphon)と完璧に一致しているわけではありません。
3. したがって…
A特性で測って同じ「40 dB」と表示されていても、周波数を変えると(例:100 Hz や 4000 Hz など)、人間が実際に感じる音の大きさ(sone)は 1 sone からズレて「変動」してしまいます。
つまり、「A特性は完璧な補正ではない。だから(したがって)、A特性で40dBだからといって、周波数が違えば 1 sone から変動する(常に 1 sone にはならない)」 というのが、この解説が言いたかったことです。
2. 不親切な解説を「分かりやすく」言い換えると?
分かりやすく補足した解説:
A特性は人間の耳の感度を大まかに真似た「簡易的なフィルタ」です。
人間の感覚を完璧に再現できているわけではないため、A特性音圧レベルが同じ「40 dB」であっても、周波数が変わると人間が感じる実際の音の大きさ(sone)は「1 sone」からズレて変動します。
したがって、「周波数によらず常に 1 sone である」とする選択肢(5)は誤りです。
3. 試験対策としてのまとめ
A特性音圧レベル(dB) = 騒音計で測るための「大まかな近似値」
sone(ラウドネス) = 人間の耳が実際に感じる「正確な音の大きさ」
「A特性はあくまで『おおむね(大まかに)』合わせたものなので、周波数が変われば sone の値は常に一定ではなく変動する!」と覚えておくと、本番でも迷わずに解けるようになります。
理解できました。ありがとうございます。