R7 公害総論 問9
問題
これまでに実施されてきた自動車に係る移動発生源対策として、誤っているものはどれか。
- (1) ディーゼル重量車に対する排出ガス規制強化
- (2) 軽油中の窒素分の低減
- (3) 窒素酸化物及び粒子状物質の総量削減
- (4) 自動車税のグリーン化
- (5) 交通流の分散・円滑化
解説
今回は、私たちの生活に欠かせない「自動車」から出るガスをどうやって減らしてきたかという、日本の「大気浄化作戦」の歴史を紐解く問題ですね。
自動車は「移動発生源」と呼ばれ、工場のように一箇所に留まらないため、対策も多岐にわたります。
今回の問題の正解と「間違い」のポイント
正解(誤っているもの)は (2) 軽油中の窒素分の低減 です。
なぜ(2)が間違いなの?
「排ガスに窒素酸化物(NOx)が含まれるんだから、燃料の軽油から窒素を抜けばいいんじゃない?」と思うかもしれませんが、実はここが引っかけです。
軽油(ディーゼル燃料)の品質規制で徹底的に行われてきたのは、窒素ではなく「硫黄(いおう)」の低減です。 燃料に含まれる硫黄は、燃えることで粒子状物質(PM)の原因になります。そのため、かつては500ppmあった軽油中の硫黄分を、段階的に50ppm、10ppm(10万分の1!)という「サルファーフリー」の状態まで減らしてきました。
一方、排ガス中の窒素酸化物(NOx)は、燃料由来というよりも、燃焼時に空中の窒素が反応してできるものです。そのため、燃料の品質規制(窒素分を抜く)ではなく、エンジンの改良や触媒による「排出ガス規制」で対策を行っています。
楽しく学ぼう!他の選択肢(正しい対策)の解説
他の選択肢はすべて、日本の青い空を取り戻すために実施されてきた重要なプロジェクトです。
(1) ディーゼル重量車に対する排出ガス規制強化
大きなトラックやバス(重量車)はパワーが必要な分、排出ガスも多くなりがちです。そのため、「新短期規制」「新長期規制」「ポスト新長期規制」と、世界でもトップレベルの厳しい基準を次々と設けて、車単体のクリーン化を進めてきました。
(3) 窒素酸化物及び粒子状物質の総量削減
車一台一台をきれいにしても、車の数が多すぎると街全体の空気はよくなりません。そこで、東京や大阪などの大都市圏を対象に「自動車NOx・PM法」という法律を作り、地域全体の汚染物質の「総量」を減らす作戦を実施しています。
(4) 自動車税のグリーン化
「環境にやさしい車を買うと、税金がお得になるよ!」という仕組みです。電気自動車(EV)や燃費の良い車に対して、自動車税を軽くするなどの優遇措置(グリーン化特例)を行い、クリーンな車への買い替えを後押ししています。
(5) 交通流の分散・円滑化
渋滞で車がノロノロ運転やアイドリングを続けると、排出ガスが増えてしまいます。そこで、ETC2.0やVICS、信号機の改良などを活用して、車がスイスイ流れるようにする道路側の対策も行われています。
初学者のための暗記のコツ!
「燃料は硫黄(S)、排ガスは窒素(N)」と覚える! 燃料の質を変えてきたのは「硫黄(いおう)」の除去です。窒素はエンジンの工夫で何とかする、と分けると混乱しません。
自動車対策は「3本柱」でイメージ!
- 車そのものをきれいにする(規制強化)
- きれいな車に買い替えさせる(グリーン化税制)
- 走りやすい道路を作る(交通流対策)
自動車対策の歴史を知ると、普段何気なく走っている車や道路の見え方が少し変わってきませんか?
正解.
2
次の問題だよ~♪
前の問題だよ~♪
目次に戻るよ~♪
