R1 騒音・振動特論 問22
問題
工場のある機械が発生している鉛直方向の地盤振動を機械から10m離れている敷地境界線上で測定したところ、振動レベルは66dBであった。距離減衰による対策で、この地点の振動レベルを60dB以下とするためには、機械を敷地境界線より少なくとも約何m離す必要があるか。ただし、波動の振幅は距離に反比例して減少し、地盤の内部減衰は無視できるものとする。
⑴ 20
⑵ 25
⑶ 30
⑷ 35
⑸ 40
解説
振動レベルの式L=20log(a/a0)に、66dBの場合と対策目標60dBの場合をそれぞれ代入します。
・66dB=20log(a10/a0)
・60dB=20log(a/a0)
加速度はそれぞれ、a10:10m、a:60dB、a0:基準加速度とします。
これらを引き算します。
66-60=20log(a10/a0)- 20log(a/a0)=20(loga10-loga0– loga+loga0)
6=20log(a10/a)
ここで、問題文の「波動の振幅は距離に反比例して減少」を考えます。
振幅をy、任意の比例定数をbとして、式にします。
y=1/r×b
振幅と速度v、加速度aは以下の関係式があります。
yω2=vω=a
ωは角振動数なので定数とみなすと、上記の振幅yの式は加速度aに置き換えても成り立ちます。
a=1/r×b→b=a×r
このように変換すると加速度と距離の積が一定であることがわかります。
60dBのときの距離をrとすると、
10×a10=a×r→a10/1=r/10
先ほど、振動レベルを引き算した式6=20log(a10/a)にa10/1=r/10を代入します。
20log(r/10)=6
logr=1.3
r=20となり、解答1が正解となります。
ちなみに距離減衰による振動レベルLは以下の式で求める問題が頻出です。
L=L0-20nlog(r/r0)-8.7λ(r-r0)
この問題の場合、「地盤の内部減衰は無視できる」とあるので、8.7λ(r-r0)を無視して考えるとL=L0-20nlog(r/r0)となります。問題文の「波動の振幅は距離に反比例して減少」などからnを求めることができなかったので、私が試験を受けた時は誤答となりました。
なお、「波動の振幅は距離に反比例して減少」という条件から、幾何減衰係数 nを求めることもできます。nが求まれば、距離減衰の公式からも正解が分かります。
ステップ1:振幅と加速度の関係式
正弦振動において、加速度 a と変位(振幅) y には以下の関係式があります。
a = ω^2 y
(ここで、ω は角振動数(= 2πf)を表します。) つまり、角振動数が一定であれば、加速度 a は振幅 y に比例します。
ステップ2:「振幅が距離に反比例」を加速度の式に当てはめる
問題文の「振幅 y は距離 r に反比例して減少」という条件は、任意の比例定数 b を用いて以下のように表せます。 y = b / r
これをステップ1の関係式に代入すると、以下のようになります。
a = ω^2 × (b / r)
ω^2 と b はどちらも一定の定数なので、これらをまとめたものを新たな定数とみなすと、加速度 a も距離 r に反比例することが分かります。
式を変形すると「a × r = 一定」となり、基準点(距離 r0、加速度 a_{r0})と測定点(距離 r、加速度 a_r)の間には以下の関係が成り立ちます。
a_{r0} × r_0 = a_r × r
したがって、加速度の比は次のように表せます。
a_r / a_{r0} = r_0 / r
ステップ3:振動レベルの式に代入する
振動加速度レベル L は、以下の式で定義されます。
L = 20 log(a/a_0)
(a_0は基準の振動加速度)
基準点(距離 r_0)のレベルを L_0、測定点(距離 r)のレベルを L としたとき、そのレベルの差を求めます。
L – L_0 = 20 log(a_r/a_0) – 20 log(a_{r0}/a_0)
対数の計算ルールを用いると、以下のようになります。
L – L_0 = 20 log(a_r / a_{r0})
ここに、ステップ2で求めた加速度の比(a_r / a_{r0} = r_0 / r)を代入します。
L – L_0 = 20 log(r_0 / r)
さらに対数の性質(log(A/B) = -log(B/A))を使って分母分子をひっくり返して変形します。 L – L_0 = -20 log(r / r_0)
ステップ4:距離減衰の公式と比較する
一方、振動の距離減衰の公式は以下のとおりです(問題文の条件より、地盤の内部減衰 8.7λ(r – r_0) はゼロとして消去します)。
L = L_0 – 20n log(r/r_0)
これを変形すると、以下のようになります。
L – L_0 = -20n log(r/r_0)
ステップ3で求めた数式(L – L_0 = -20 log(r / r_0))と、この距離減衰の公式を見比べると、係数の部分が完全に一致するため n = 1 となることが数学的に導き出せます。
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いつもありがとうございます.
解説の下記式
66-60=20log(a10/a0)-20log(a/a0)=20(loga10-loga0-loga+a0)
ですが、
66-60=20log(a10/a0)-20log(a/a0)=20(loga10-loga0-loga+loga0)
でしょうか.
ご指摘ありがとうございます。
記事を修正したので、ご確認お願いします。
「波動の振幅は距離に反比例して減少」などからnを求めることができなかったことについてです。
「波動の振幅は距離に反比例して減少」⇒1/rからn=0.5ではないでしょうか。
まちがっていたら申し訳ありません。
今回の場合、n=1となります。
解説文の後半に幾何減衰係数nを求める方法も追記したので、よろしければご覧ください。