R6 騒音・振動特論 問29
問題
工場内の施設から発生する定常振動の対策を行った。対策の前後で工場敷地境界線上における鉛直振動を測定し,下表のオクターブバンド分析の結果を得た。対策後の振動レベルは,対策前に比べて約何dB小さくなったか。
⑴ 2
⑵ 4
⑶ 6
⑷ 8
⑸ 10
解説
この問題は、測定された「振動加速度レベル(物理的な揺れの強さ)」を「振動レベル(人間の感覚)」に変換し、対策の前後でどれくらい静かになったかを比較する、公害防止管理者試験の超定番問題です。
まともにすべてを計算しようとすると途方に抜れてしまいますが、試験で必須となる「鉛直方向の感覚補正値」と「デシベル和の概算ルール(小さい音は無視する)」を使えば、パズルのようにスッと解くことができます。
ステップ1:鉛直方向の「感覚補正値」を思い出す
問題文の表(または測定データ)はただの「振動加速度レベル」なので、これを人間の感覚に合わせた「振動レベル」に変換する必要があります。
以下の鉛直方向の補正値は試験に必ず出るため、声に出して暗記しておきましょう。
覚え方:「マイナス 6、3、ゼロ、1、あとは6の倍数(6, 12, 18)」
- 1Hz:-6 dB
- 2Hz:-3 dB
- 4Hz:0 dB
- 8Hz:-1 dB
- 16Hz:-6 dB
- 31.5Hz:-12 dB
- 63Hz:-18 dB
ステップ2:対策前の振動レベルを計算する
対策前の加速度レベル(測定データ)に、ステップ1の補正値を足して「補正後レベル(振動レベル)」を出します。
- 1Hz:32 – 6 = 26 dB
- 2Hz:47 – 3 = 44 dB
- 4Hz:35 + 0 = 35 dB
- 8Hz:67 – 1 = 66 dB
- 16Hz:67 – 6 = 61 dB
- 31.5Hz:42 – 12 = 30 dB
- 63Hz:55 – 18 = 37 dB
ここで「レベル差が10dB以上ある小さい音は、全体にかき消されるため無視してよい」という鉄則を使います。
一番大きな音である 66 dB(8Hz)に対して、44 dB や 37 dB などは10dB以上小さいため、足し算に影響しません。これらはすべて無視して切り捨てます。
残った 66 dB(8Hz)と 61 dB(16Hz)を、以下の概算ルールで足し合わせます。
【概算ルール】
- 差が0~1dBなら+3dB、2~4dBなら+2dB、5~9dBなら+1dB
66 dB と 61 dB(差5 = +1) → 66 + 1 = 67 dB (対策前の全体レベル)
ステップ3:対策後の振動レベルを計算する
同様に、対策後の加速度レベルにも補正値を足します。
- 1Hz:29 – 6 = 23 dB
- 2Hz:44 – 3 = 41 dB
- 4Hz:27 + 0 = 27 dB
- 8Hz:60 – 1 = 59 dB
- 16Hz:63 – 6 = 57 dB
- 31.5Hz:43 – 12 = 31 dB
- 63Hz:45 – 18 = 27 dB
同じく、一番大きな 59 dB に対して10dB以上小さい音はすべて無視します。
残った 59 dB(8Hz)と 57 dB(16Hz)を足し合わせます。
59 dB と 57 dB(差2 = +2) → 59 + 2 = 61 dB (対策後の全体レベル)
ステップ4:減少量を計算する
対策前の 67 dB から、対策後の 61 dB を引き算します。
67 – 61 = 6 dB
したがって、振動レベルは 6 dB 小さくなったことが分かり、正解は(3)となります。
学習のポイント
振動の計算問題では、以下の2つの武器を必ず使いこなせるようにしておきましょう。
- 1. 鉛直方向の補正値の暗記(-6, -3, 0, -1, -6, -12, -18)
- 2. デシベル和の「無視」テクニック:計算を劇的に楽にするために、「一番大きい数字」を見つけたら、そこから10dB以上離れている小さい数字はすべてバツ印をつけて消してしまいましょう。
提示された元の解説は、この「小さい音を無視する」というプロセスを端折っているため、「なぜ8Hzと16Hzしか計算していないのか」が分かりにくくなっています。本番では自分で取捨選択できるように、このテクニックを身につけておきましょう。
計算問題を強化したい方にオススメ
解答.
3
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この問題は8~16Hzで比較してますが、他の周波数帯で比較すると6dBとはならないです。
これはどういう理由からなのでしょうか。
ご質問ありがとうございます。
「他の周波数帯を見ると6dB減っていないのに、なぜ全体で6dB減と言えるのか?」という質問でよろしいでしょうか。
結論から言うと、「全体の振動レベルは、一番大きな数値を出している周波数(主役)によって支配されており、小さい数値(脇役)がいくら変化しても全体には影響しないから」です。
分かりやすく、以下の3つのポイントで解説します。
1. 振動レベルは「一番大きな音」に引っ張られる
デシベル(dB)の足し算は、単純な足し算(10+10=20など)ではなく、エネルギーの足し算になります。
デシベルの世界では、「一番大きい数値から10dB以上小さい数値は、かき消されてしまって全体の合計に影響を与えない」という強力なルールがあります。
2. 今回の問題に当てはめてみる
問題のデータ(補正後の振動レベル)を見てみましょう。
【対策前】
一番大きいのは 8Hzの「66dB」と、次に大きい 16Hzの「61dB」です。
他の周波数(26、44、35、30、37 dB)は、最大の66dBから見て10dB以上小さい状態です。
したがって、対策前の全体の揺れは、8Hzと16Hzの合計(67dB)だけで決まっています。
【対策後】
対策後も、一番大きいのは 8Hzの「59dB」と 16Hzの「57dB」です。
他の周波数(23、41、27、31、27 dB)は、やはり最大の59dBから見て10dB以上小さいため、無視できます。
したがって、対策後の全体の揺れも、8Hzと16Hzの合計(61dB)だけで決まります。
3. 「全体として」どれくらい静かになったか?
ご質問の通り、個別の周波数を見ると、2Hzは44→41(3dB減)、63Hzは37→27(10dB減)など、それぞれの減り具合はバラバラです。
しかし、工場全体としての揺れには全く影響を与えていないのです。
私たちが最終的に知りたいのは「個別の周波数ごとの変化」ではなく、「工場全体としてどれくらい静かになったか」です。
全体を支配している8Hzと16Hzの合成値が、対策前(67dB)から対策後(61dB)になったため、「全体として6dB小さくなった」というのがこの問題の答えになります。
実務と試験でのポイント
このご質問の視点は、「どの機械(周波数)を対策すれば一番効果があるか」という実務や、特論の試験でよく出る「ボトルネックを探す問題」に直結します。
「全体を下げるには、まず一番大きな数字を探して、そこを比べるしかない」というイメージを持っておくと、今後の計算問題がさらに解きやすくなるはずです!
このコメント内容を踏まえ、詳細な解説に修正したので、ご確認よろしくお願いします。
なるほど!
詳細にありがとうございます。全体で考えるようにすればいいのですね。
理解できました。
小生、まだ理解が乏しので何卒よろしくお願いします。