H29騒音・振動

H29 騒音・振動特論 問20

ぱっと読める目次
  1. 問題
  2. 解説

問題

ある機械が発生している地盤振動の振動レベルを測定して,下表に示すAとBの 2 通りの方法で振動の距離減衰を推定する。この 2 通りの推定方法による機械から 2 m 以遠の地点における振動レベルに関する記述として,正しいものはどれか。

推定方法 機械から 1 m 離れた地点の振動レベル(dB) 幾何減衰係数 地盤の内部減衰係数
70 1 0
70 0.5 0.04

 

⑴ 距離に関係なくAの方法による振動レベルが常に大きい。

⑵ 距離に関係なくBの方法による振動レベルが常に大きい。

⑶ Aの方法では,距離を対数軸上に図示すると,振動レベルは距離の増加とともに直線的に減衰する。

⑷ Bの方法では,距離を対数軸上に図示すると,振動レベルは距離の増加とともに直線的に減衰する。

⑸ Aの方法による振動レベルと B の方法による振動レベルが同じ大きさになる距離は存在しない。

解説

振動の距離減衰は、以下の式で求められます。

L=L0-20nlogr/r0-8.7λ(r-r0)

  • L:ある距離での振動レベル
  • 0:基準点からの振動レベル
  • n:幾何減衰係数
  • r:加振点からの距離
  • 0:加振点から基準点までの距離
  • λ:内部減衰係数

 

この式から、地点A、Bでの振動レベルL、Lをそれぞれ求めます。

=70-20logr

=70-10logr-0.348(r-1)

 

(1)

この問題では2m以遠と問われています。

そこで、一番近い2mでの振動レベルを求めます。

A2=70-20log2=70-20×0.3=64

B2=70-10log10-0.348×1=67

Bの方が大きいので、間違いであることがわかります。

(2)

とLに入っている距離の項について、考えてみます。

rとlogrの大小は、rが大きくなるほど、差が大きくなります。

例えば、r=10ならlog10=1ですが、r=100ならlog100=log102=2のように差が開きます。

これを踏まえて、LとLの式を見ますと、rが大きくなる時にLの方が小さくなることが予想されます。

試しに、r=100のときを求めます。

A100=70-20log100=70-40=30

B100=70-10log100-0.348×99=50-34=16

Aの方が大きいので、間違いであることがわかります。

(3)

=70-20logr

の式は、対数の項だけになります。

縦軸を振動レベル、横軸を距離の対数軸にプロットすれば、直線的に減少します。

(4)

=70-10logr-0.348(r-1)

の式は、対数の項(-10logr-)と1次の項(-0.348(r-1))が含まれています。

縦軸を振動レベル、横軸を距離の対数軸にプロットする場合、(3)のような対数の項だけであれば直線的に減少します。

ただし、Lの式は1次の項(-0.348(r-1))が含まれているので、この影響で対数軸にプロットしても直線にはなりません。

(5)

(1)と(2)から、初めはLの方が大きく、次第にLの方が大きくなりますので、逆転する距離で両者の振動レベルが等しくなります。

解答 3

 

次の問題だよ~♪

H29 騒音・振動特論 問21問題 地表の 1 点を加振して広がる波動の距離減衰に関する記述として,誤っているものはどれか。ただし,地盤は半無限の均質な弾性体とする...

前の問題だよ~♪

H29 騒音・振動特論 問19問題 質量 1000 kg で毎分 600 回転している回転機械があり, 1 回転に 1 回の割合で鉛直方向の正弦加振力を発生している...
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ピエうさ
3児の子育てをしながら国家試験に挑む理系会社員。 これまでの受験したノウハウをこのブログで公開中!

POSTED COMMENT

  1. tak より:

    この解説ではr0=1と言うことになりますか?

  2. tak より:

    この問題は数学の知識が無い人には捨て問になりますか?
    解説(3)~(5)の解説がよくわかりません。

    • ピエうさ より:

      対数軸のグラフが理解できない方は、(3)〜(5)の内容は難しいかと思います。

      なお、そもそもですが精選問題集を含めた騒音・振動関係の解説は、方対数グラフ等の対数は理解できる前提で作成されています。
      対数の計算が理解できずに捨て問にするようであれば、他で相当の知識を有していないと合格は難しいと思います。

  3. tak より:

    (5)の内容はグラフを書いてわかりましたが(3)、(4)を理解するにはどうしたら良いと思いますか?

    • ピエうさ より:

      https://detail-infomation.com/semi-log-plot-and-log-log-plot/

      上記サイトなどで方対数グラフの解説がありますので、参考にしてください。

      なお、一般的な方対数グラフは縦軸を対数軸としています。
      公害防止管理者の解説は、騒音レベルや振動レベルは縦軸にしていますので、対数軸がどちらになるかはご注意ください。

  4. tak より:

    ありがとうございます。

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