問題
ある機械が発生している地盤振動の振動レベルを測定して,下表に示すAとBの 2 通りの方法で振動の距離減衰を推定する。この 2 通りの推定方法による機械から 2 m 以遠の地点における振動レベルに関する記述として,正しいものはどれか。
推定方法 | 機械から 1 m 離れた地点の振動レベル(dB) | 幾何減衰係数 | 地盤の内部減衰係数 |
A | 70 | 1 | 0 |
B | 70 | 0.5 | 0.04 |
⑴ 距離に関係なくAの方法による振動レベルが常に大きい。
⑵ 距離に関係なくBの方法による振動レベルが常に大きい。
⑶ Aの方法では,距離を対数軸上に図示すると,振動レベルは距離の増加とともに直線的に減衰する。
⑷ Bの方法では,距離を対数軸上に図示すると,振動レベルは距離の増加とともに直線的に減衰する。
⑸ Aの方法による振動レベルと B の方法による振動レベルが同じ大きさになる距離は存在しない。
解説
振動の距離減衰は、以下の式で求められます。
L=L0-20nlogr/r0-8.7λ(r-r0)
- L:ある距離での振動レベル
- L0:基準点からの振動レベル
- n:幾何減衰係数
- r:加振点からの距離
- r0:加振点から基準点までの距離
- λ:内部減衰係数
この式から、地点A、Bでの振動レベルLA、LBをそれぞれ求めます。
LA=70-20logr
LB=70-10logr-0.348(r-1)
(1)
この問題では2m以遠と問われています。
そこで、一番近い2mでの振動レベルを求めます。
LA2=70-20log2=70-20×0.3=64
LB2=70-10log10-0.348×1=67
Bの方が大きいので、間違いであることがわかります。
(2)
LAとLBに入っている距離の項について、考えてみます。
rとlogrの大小は、rが大きくなるほど、差が大きくなります。
例えば、r=10ならlog10=1ですが、r=100ならlog100=log102=2のように差が開きます。
これを踏まえて、LAとLBの式を見ますと、rが大きくなる時にLBの方が小さくなることが予想されます。
試しに、r=100のときを求めます。
LA100=70-20log100=70-40=30
LB100=70-10log100-0.348×99=50-34=16
Aの方が大きいので、間違いであることがわかります。
(3)
LA=70-20logr
LAの式は、対数の項だけになります。
縦軸を振動レベル、横軸を距離の対数軸にプロットすれば、直線的に減少します。
(4)
LB=70-10logr-0.348(r-1)
LBの式は、対数の項(-10logr-)と1次の項(-0.348(r-1))が含まれています。
縦軸を振動レベル、横軸を距離の対数軸にプロットする場合、(3)のような対数の項だけであれば直線的に減少します。
ただし、LBの式は1次の項(-0.348(r-1))が含まれているので、この影響で対数軸にプロットしても直線にはなりません。
(5)
(1)と(2)から、初めはLBの方が大きく、次第にLAの方が大きくなりますので、逆転する距離で両者の振動レベルが等しくなります。
解答 3
次の問題だよ~♪
前の問題だよ~♪
この解説ではr0=1と言うことになりますか?
ご質問のとおり、r0=1mとなります。
わかりました。ありがとうございます。
この問題は数学の知識が無い人には捨て問になりますか?
解説(3)~(5)の解説がよくわかりません。
対数軸のグラフが理解できない方は、(3)〜(5)の内容は難しいかと思います。
なお、そもそもですが精選問題集を含めた騒音・振動関係の解説は、方対数グラフ等の対数は理解できる前提で作成されています。
対数の計算が理解できずに捨て問にするようであれば、他で相当の知識を有していないと合格は難しいと思います。
(5)の内容はグラフを書いてわかりましたが(3)、(4)を理解するにはどうしたら良いと思いますか?
https://detail-infomation.com/semi-log-plot-and-log-log-plot/
上記サイトなどで方対数グラフの解説がありますので、参考にしてください。
なお、一般的な方対数グラフは縦軸を対数軸としています。
公害防止管理者の解説は、騒音レベルや振動レベルは縦軸にしていますので、対数軸がどちらになるかはご注意ください。
ありがとうございます。