R2 騒音・振動特論 問3
問題
音波の距離減衰特性に関する記述として,誤っているものはどれか。ただし,DD は倍距離(Double Distance)を表す。
⑴ 点音源の距離減衰特性は,-6 dB/DD である。
⑵ 無限長線音源の距離減衰特性は,-3 dB/DD である。
⑶ 長さ l の有限長線音源の距離減衰特性は,音源に対して垂直方向の距離がl/π 以遠では,-3 dB/DD である。
⑷ 短辺 a,長辺 b の矩形面音源の距離減衰特性は,音源に対して垂直方向の距離が b/π 以遠では,-6 dB/DD である。
⑸ 無限大面音源の距離減衰特性は, 0 dB/DD である。
解説
(3) 長さ l の有限長線音源の距離減衰特性は,音源に対して垂直方向の距離がl/π 以遠では,-6 dB/DD となります。
その他の選択肢の事項も頻出なので、よく覚えておいてください。
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長さ l の有限長線音源の距離減衰特性は,音源に対して垂直方向の距離がl/π 以遠では,-3 dB/DD
ここなのですが、長辺b、短辺aの時、a/πの時は-3db,b/πで-6dBとなり、この間のところにl/πがあると思うのですが、合ってますでしょうか?
また、-3dBになる理由を教えていただきたいです。
ご質問ありがとうございます!
結論から申し上げますと、以下のようになります。
1. 「l/π が a/π と b/π の間にある」という考え方は誤りで、有限長線音源には短辺 a が存在しません(短辺 a = 0)。
2. 線音源の減衰が 「-3 dB/DD(倍距離で3dB減衰)」になる理由は、音のエネルギーが「円筒状(2次元)」に広がるため です。
3. 令和2年問3の選択肢(3)は、「l/π 以遠では -3 dB/DD」と書かれている点が誤り(正しくは点音源となり -6 dB/DD) であるため、この問題の正解(誤りを含む選択肢)となります。
1. 「有限長線音源」と「矩形面音源」の違い
「短辺 a、長辺 b」というのは、工場の壁面などの「矩形面音源(面音源)」における切り替わりルールです。
【矩形面音源(短辺 a、長辺 b)の場合】
離れていくにつれて「面 ➡ 線 ➡ 点」と見え方が3段階変化します。
・0 ~ a/π(近距離):面音源に見える ➡ 0 dB/DD(減衰なし)
・a/π ~ b/π(中距離):帯状の線音源に見える ➡ -3 dB/DD(倍距離で3dB減衰)
・b/π 以遠(遠距離):ただの点音源に見える ➡ -6 dB/DD(倍距離で6dB減衰)
【有限長線音源(長さ l )の場合】
線音源は「厚みのない1本の線」ですので、短辺 a がありません(a = 0)。
そのため、「面」のエリアは存在せず、最初から「線音源」としてスタートします。
・0 ~ l/π(近距離):線音源に見える ➡ -3 dB/DD(倍距離で3dB減衰)
・l/π 以遠(遠距離):ただの点音源に見える ➡ -6 dB/DD(倍距離で6dB減衰)
つまり、長さ l の線音源における l/π という距離は、
「線音源から点音源に切り替わる唯一の境界距離」 であり、a/π と b/π の間にあるわけではありません。
令和2年問3の選択肢(3)では、「l/π 以遠では -3 dB/DD である」 と書かれていますが、
l/π より遠くなると「点音源(-6 dB/DD)」に変わるため、この文章記述が誤り(=解答)になります。
2. なぜ線音源は「-3 dB/DD」になるのか?(倍距離3dB減衰の理由)
音が空気中を伝わるとき、「音源の形によってエネルギーの広がり方(拡散のしかた)」 が異なるためです。
【点音源(シャボン玉のように球状に広がる:3次元)】
・点音源から出た音は、全方向に「球(ボール)」の形で広がります。
・球の表面積の公式は 4 × π × r^2 です。
・距離が2倍(r ➡ 2r)になると、球の表面積は 2^2 = 4倍 に広がります。
・エネルギーが4分の1に薄まるため、デシベル計算すると:
10 log10(1/4) = -20 log10(2) = 約 -6 dB
となり、倍距離で6dB減衰(-6 dB/DD) します。
【線音源(パイプのように円筒状に広がる:2次元)】
・道路を走る車の列や配管などの線音源から出た音は、「円筒(チューブ)」の形で広がります。
・単位長さあたりの円筒の側面積は 2 × π × r です。
・距離が2倍(r ➡ 2r)になっても、側面積は 2倍 にしか広がりません。
・エネルギーが2分の1に薄まるため、デシベル計算すると:
10 log10(1/2) = -10 log10(2) = 約 -3 dB
となり、倍距離で3dB減衰(-3 dB/DD) します。
有限長線音源の近く(l/π 以内)にいるときは、まるで無限に続く線音源の近くにいるかのように音波が「円筒状」に広がるため、-3 dB/DD になります。