公害防止管理者国家試験の騒音振動関係では、デシベル計算が避けてとおれません。
騒音振動関係で頻出の等価騒音レベルは、以下の式で求めることができます。
10log(10L1/10+10L2/10・・・+10Ln/10)-10logn
=(デシベルの合計)-10log(回数)
- L:各回の騒音レベル
- n:個数
しかし、国家試験で関数電卓の持ち込みは禁止されています。
問題用紙の後ろに常用対数表は付いていますが、わざわざ計算するのは面倒ですよね。
例えば、平成30年度騒音振動関係特論の問24では、こんな問題があります。

工場内のある機械を対象に振動レベルを10回繰り返し測定して下表を得た。振動レベルのパワー平均は約何dBか。
測定回 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
振動レベル(dB) | 55 | 66 | 61 | 62 | 64 | 65 | 58 | 64 | 65 | 55 |
⑴ 57 ⑵ 59 ⑶ 61 ⑷ 63 ⑸ 65
この問題は振動レベルのパワー平均ですが、求め方は等価騒音レベルと同じです。
こんな問題を解き時に便利なのがデシベルの和の補正値です。

デシベルdBの和の補正値
レベル差(dB) | 0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10~ |
補正値(dB) | 3 | 2 | 1 | 0 |
これは、二つのデシベルを合計しようとするとき、二つの差に応じて、大きい方のデシベルに補正値を足すだけで、計算ができるものです。
例えば、51デシベルと48デシベルの和を求めてみましょう。
和の補正値の場合
差は3デシベルです。
上の表で差が3の補正値は2デシベルなので、51+2=53デシベルが和になります。
精密に求める場合
- 10log(1051/10+1048/10)
- =10log(105.1+104.8)
- =10log105+10log(100.1+1/100.2) ←常用対数表を使うため、累乗部分を1以下にします。
- =10log105+10log(1.26+1/1.58)
- =50+10log1.89 ←常用対数表からlog1.89=0.274
- =50+2.74=52.7
和の補正値と0.3dBずれていますが、実際の試験中にこんな計算やってられないですよね。
上記の問題のように選択肢が2dBくらいの差で設問されることが多いので、国家試験では和の補正値の精度で十分です。
実際の試験問題
それでは、先ほどの試験問題を和の補正値で計算します。
測定回 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
振動レベル(dB) | 55 | 66 | 61 | 62 | 64 | 65 | 58 | 64 | 65 | 55 |
どこから計算してもだいたい同じ数字になるのですが、大きい方から合計して早々に10デシベル以上の差になってしまうと、切り捨てる割合が大きくなります。
そこで、個人的には、設問で一番小さい数字から順に合計するようにしています。
測定回1~10をそれぞれn1~n10として、
- n155+n1055=58
- 58+n758=61
- 61+n361=64
- 64+n462=66
- 66+n564=68
- 68+n864=70
- 70+n665=71
- 71+n965=72
- 72+n266=73デシベル
これをパワー平均すると、
73-10log10=63dBとなります。
説明のために一回ずつ足し算を書きましたが、1~3を足すだけなので、暗算でもできます。
このブログの解説では一回ずつ計算過程について、(前の和)+(新しい数字)=(デシベル和)上記のように記載します。
