R2 騒音・振動特論 問20
問題
1 自由度系の力の振動伝達率の値に関する記述として,誤っているものはどれか。ただし,f は加振振動数,f0 は系の固有振動数,ζ は減衰比である。
⑴ f 《 f0 のとき,ζ に関係なく,ほぼ 1 である。
⑵ f ≒ f0 のとき,ζ に関係なく,常に 1 より大きい。
⑶ f ≒ f0 のとき,ζ 《 1 ならば,ほぼ 1/2ζ である。
⑷ f = √2×f0 のとき,ζ に関係なく,常に 1 である。
⑸ f 》f0 のとき,ζ が小さいほど振動伝達率は大きくなる。
解説
振動伝達率τは、以下の関係式があります。
τ=[{1+(2ζη)2}/{(1-η2)2+(2ζη)2}]1/2
η:振動数比f/f0
(1) f 《 f0から、ηがほぼ0とみなせます。
分子の1+(2ζη)2≒1、分母の(1-η^2)2≒1から分母全体≒1となります。
(2) f ≒ f0から、[{1+(2ζ)2}/(2ζ)2]1/2となり、常に1より大きくなります。
(3) ζ 《 1 から、(2)式で分子≒1になります。
[ 1/(2ζ)2 ]1/2=1/2ζ
(4)分子=分母=1+(2ζ√2)2になります。
(5)問題文に「ζが小さい」とあるので、0の場合を考えます。
このとき、τ=1/(1-η2)2となります。
f 》f0からη=f/f0が大きくなるので、τは小さくなります。
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これ五番についてですが、単純数式抜きにして考える場合、
加振振動数が、系の固有振動数を上回るとき、減衰比が小さかったら、当然の如く振動伝達率は小さくなると思うのですが、どうでしょうか?
ご質問ありがとうございます!
結論から申し上げますと、質問内容のお考えは正しいものとなります。
「数式抜き(物理的イメージ)」で考えたときのメカニズムと、
本問(令和2年度 騒音・振動特論 問20)の選択肢(5)がなぜ「誤り(正解)」になるのかについて詳しく解説します。
1. 数式抜きの物理イメージ(なぜ減衰が小さいほうが伝達率が小さくなるのか?)
防振領域(加振振動数 f が固有振動数 f0 の ルート2 倍を超える高周波領域: f >> f0 )において、減衰(ダンパーの粘り気)の役割をイメージしてみましょう。
・高周波(速いブルブル)に対するダンパーの動き
ダンパー(減衰要素)は、ピストンの動く「速度」に比例して抵抗力を生み出します。
そのため、高い周波数で目まぐるしく揺さぶられたとき、減衰比が大きい(ダンパーが強い)と、
速い動きに対してダンパーがカチカチに突っ張ってしまい、基礎や床へ振動をそのまま伝えてしまいます。
・減衰が小さい(ばね主体)場合
逆に減衰比が小さければ(理想的には純粋なばねだけ)、速い振幅の動きをばねがしなやかに伸び縮みして吸収できるため、床へ抜ける力(振動伝達率)は非常に小さくなります。
つまり、共振点付近( f と f0 がほぼ等しい領域)では大暴れを防ぐために「強い減衰」が必要ですが、
それを抜けた高周波領域( f >> f0 )では、逆に「減衰が小さい(ダンパーが効いていない)」ほうが振動伝達率は小さくなり、防振効果が高くなります。
2. 試験問題(令和2年問20 選択肢5)との関係
問題文の選択肢(5)の記述を見てみます。
選択肢(5):「 f >> f0 のとき、減衰比が小さいほど振動伝達率は大きくなる。」
質問者様が見抜かれた通り、正しい現象は「減衰比が小さいほど振動伝達率は小さくなる」です。
したがって、選択肢(5)の記述は物理的・論理的事実と真逆(誤り)ということになります。
本問は「誤っているものはどれか」を選ぶ問題ですので、この間違った記述をしている選択肢(5)が正解となります。
すいません。 伝達率が大きくなるの勘違いです。
なので、質問しました。
ぴえウサさんの考えをもとに考える場合、 f<<f0の条件も必要だと思いますが、どうでしょうか?
fがf0より非常に小さい領域では、減衰比をいくら小さくしても振動伝達率は小さくならず、ほぼ1のままとなります。
そのため、この領域の条件についての理解も欠かせません。
加振振動数(f)と固有振動数(f0)の関係における全4つの領域を整理すると、以下のようになります。
1. fがf0より非常に小さい領域(静的・極低周波領域)
・現象:波の動きが遅すぎて、ばねやダンパーが固体のように一体となってそのまま動きます。
・伝達率:減衰比の大きさに関わらず、振動伝達率はほぼ1になります(問題の選択肢1の条件)。
・ポイント:この領域では、減衰比を小さくしても伝達率は小さくなりません(防振効果は得られません)。
2. fとf0がほぼ等しい領域(共振領域)
・現象:揺れのタイミングが一致して大暴れします。
・伝達率:振動伝達率は1より大きくなります(加振力より大きな力が伝わる)。
・ポイント:この領域では、大暴れを抑えるために「減衰比が大きい(強いブレーキ)」ほど伝達率は小さくなります。
3. fがf0のルート2倍と等しい領域(防振の境界点)
・現象:防振効果が得られるかどうかの分岐点です。
・伝達率:減衰比の値に関わらず、振動伝達率は常にピタリと1になります(問題の選択肢4の条件)。
4. fがf0より非常に大きい領域(防振領域:fがf0のルート2倍を超える領域)
・現象:速い揺れに対してばねがしなやかに吸収する防振エリアです。
・伝達率:振動伝達率は1より小さくなります(地盤に伝わる力が低減される)。
・ポイント:この領域(選択肢5で問われている部分)では、ダンパーの突っ張りを防ぐため、「減衰比が小さい(柔らかいばね主体)」ほど伝達率は小さくなります。
まとめ
問20の選択肢5では、「防振効果が得られている領域(fがf0より非常に大きい)」において、減衰比を小さくすると伝達率はどうなるかを問うているため、
「fがf0より非常に大きい」という前提条件が提示されています。
一方で、「fがf0より非常に小さい」という条件は、
「そもそも防振効果が全く働かず、伝達率が1に張り付いてしまう領域」を表す重要な前提条件となります(選択肢1で扱われています)。
なるほど、式では納得できませんが(根拠となる式からはそうなると理解できる)
ぴえウサさんの5のいう内容でしたら、納得できました。
ありがとうございます。