公害防止管理者騒音・振動関係は、計算問題が多数出題されます。この記事では、「正解とヒント」など問題集を進めるため、重要な公式をまとめています。
また、移動中などに覚えたい方向けに、Youtubeに動画もアップしています。
- 周波数f(Hz)、周期T(s)
- 音速c(m/s)、周波数f(Hz)、波長λ(m)
- 角周波数ω(rad/s)、加速度a(m/s)、速度v(m/s)、変位y(m)
- デシベルdBの和の補正値
- デシベルの平均
- 音圧レベル・騒音レベル
- A特性の補正値
- 音圧実効値、音の強さ
- 音の強さIと音響出力P
- 音の強さIのレベル
- 音響パワーレベル
- 音圧レベルLp(dB)と音響パワーレベルLw(dB)の関係
- 点音源からの距離減衰
- 線音源からの距離減衰
- 吸音ダクト形消音器の伝達損失
- 膨張形消音器の伝達損失
- 室内の平均音圧レベル
- 音響透過損失
- 総合音響透過損失
- 振動加速度レベル、振動レベル
- 振動感覚補正値
- 加速度、速度、変位の関係
- 固有角振動数、ばね定数、質量の関係
- 固有振動数、静的たわみの関係
- 弾性支持をしているときの振動伝達率
- 振動の距離減衰
周波数f(Hz)、周期T(s)
f=1/T
音速c(m/s)、周波数f(Hz)、波長λ(m)
c=f×λ
角周波数ω(rad/s)、加速度a(m/s)、速度v(m/s)、変位y(m)
ω=2πf
a=ωv=ω2y
v=ωy=2πf・y
デシベルdBの和の補正値
レベル差(dB) | 0 | 1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10~ |
補正値(dB) | 3 | 2 | 1 | 0 |
実際の問題では、オクターブバンドごとに音圧レベルや振動加速度レベルが与えられ、バンドごとのレベルを合計し、騒音レベルや振動レベルを求めます。
対数の足し算で精密に求めることも可能ですが、試験では、この補正値で概算が分かれば正解できます。
限られた試験時間内で、早く解くテクニックになるので、和の補正値は必ず覚えましょう。
デシベルの平均
(等価騒音レベルLAeq、等価振動レベル)=(デシベルの和)-10 log n
- nは個数
等価騒音レベルLAeq=(個々の等価騒音レベル)+10 log t/T
- t:個々の平均化時間
- T:平均化時間
音圧レベル・騒音レベル
L=20 log p/p0
- p:音圧(Pa)
音圧レベルの場合は、音圧実効値
騒音レベルの場合は、周波数重みA特性をかけた音圧実効値
- p0:基準音圧(Pa)=2×10-5Pa
A特性の補正値
周波数(Hz) | 63 | 125 | 250 | 500 | 1000 | 2000 | 4000 | 8000 |
補正値(dB) | -26 | -16 | -9 | -3 | 0 | +1 | +1 | -1 |
表の周波数は、オクターブバンド中心周波数です。
実際の問題では、この周波数ごとに音圧レベルが与えられ、A特性で補正したレベルを合計し、騒音レベルを求めます。
私の場合は、周波数の順番に合わせ、補正値も同じ順で覚えています。
26、16、9、3、ゼロ、プラス1、プラス1、マイナス1
2000ヘルツ、4000ヘルツは、プラスなので、注意してください。
音圧実効値、音の強さ
音圧実効値p(Pa)=ρcν
音の強さI(W/m2)=p2/ρc
- ρ:空気の密度(≒1.2kg/m3)
- c:音速(≒340m/s)
- ρc:特性インピーダンス(1.2×340≒400Pa・s/mと与えられることが多い)
- ν:粒子速度(m/s音速ではなく、空気の粒子の速度)
音の強さIと音響出力P
音の強さI(W/m2)=P/(4πr2)・Q
- P:音響出力(W)
- r:音源からの距離(m)
- 4πr2:球の表面積
- Q:方向係数
音の強さIのレベル
音の強さI(W/m2)のレベル(dB)=10logI/I0
- I0:基準の音の強さ(=10-12W/m2)
音響パワーレベル
音響パワーレベル(dB)=10logP/P0
- P:音響出力(W)
- P0:音響出力の基準値(=10-12W)
音圧レベルLp(dB)と音響パワーレベルLw(dB)の関係
Lp=Lw+10logQ/(4πr2)
点音源からの距離減衰
L1-L2=20logr2/r1
- L1:r1での音圧レベル(dB)
- L2:r2での音圧レベル(dB)
- r1、r2:音源からの距離
距離が倍(r2=2×r1)になったときの減衰
20log2×r1/r1=20log2=6dB
線音源からの距離減衰
L1-L2=10logr2/r1
- L1:r1での音圧レベル(dB)
- L2:r2での音圧レベル(dB)
- r1、r2:音源からの距離
距離が倍(r2=2×r1)になったときの減衰
10log2×r1/r1=20log2=3dB
吸音ダクト形消音器の伝達損失
吸音ダクト形消音器の伝達損失R(dB)=(α-0.1)・P・l/S
- α:吸音率
- P:ダクトの周長(m)
- l:ダクトの長さ
- S:ダクトの断面積
膨張形消音器の伝達損失
膨張形消音器の伝達損失R(dB)=10log[1+1/4・{m-(1/m)}2×sin2(kl)]
- m:膨張比(断面積の比率)
- k:波長定数rad/m(2πf/c)
- l:空洞の長さ
Rが最大となるとなるのは、klが90度(π/2)、270度(3π/2)、450度(5π/2)…のときとなる。
特にπ/2のときの周波数fは、c/(4l)となる。
室内の平均音圧レベル
室内の平均音圧レベル(dB)=Lw+log4/A
- A:等価吸音面積=S(表面積m2)×α(吸音率)
音響透過損失
音響透過損失TL(dB)=10log1/τ
- τ:透過率
総合音響透過損失
総合音響透過損失(dB)=10log{S1+S2+S3+…}/{S1×τ1+S2×τ2+S3×τ3…}
- S:面積m2
- τ:透過率
振動加速度レベル、振動レベル
振動加速度レベルLa(dB)、振動レベルLv(dB)=20loga/a0
- a:振動加速度の実効値(m/s2)
- a0:基準の振動加速度(10-5m/s2)
振動加速度レベルに水平・鉛直特性で補正したものが振動レベルになります。
振動感覚補正値
周波数(Hz) | 1 | 2 | 4 | 8 | 16 | 31.5 | 63 |
鉛直方向の補正値(dB) | -6 | -3 | 0 | -1 | -6 | -12 | -18 |
水平方向の補正値(dB) | 3 | 2 | -3 | -9 | -15 | -21 | -27 |
表の周波数は、オクターブバンド中心周波数です。
実際の問題では、この周波数ごとに振動加速度が与えられ、感覚補正値で補正したレベルを合計し、振動レベルを求めます。
私の場合は、周波数の順番に合わせ、補正値も同じ順で覚えています。
- 鉛直方向について、6、3、ゼロ、1、あとは6の倍数。
- 水平方向について、3、2、3、9、あとは6ずつマイナス。
水平方向の1、2ヘルツはプラスなので、注意してください。
振動感覚補正値は、鉛直方向は規制値の測定に使用されるので、必ず覚えましょう。
また、水平方向も、鉛直方向ほどではないですが、試験で問われます。
加速度、速度、変位の関係
加速度a(m/s2)=2πf×速度v(m/s)=(2πf)2×変位y(m)
- f:振動数(Hz)
固有角振動数、ばね定数、質量の関係
固有角振動数ω0(rad/s)=√(k/m)
- k:ばね定数(N/m)
- m:質量(kg)
ω=2πfから、
固有振動数f0=1/2π×ω0=1/2π・√(k/m)
固有振動数、静的たわみの関係
固有振動数f0=1/2π×√(g/σ)
- g:重力加速度9.8m/s2
- σ:静的たわみ(m)
弾性支持をしているときの振動伝達率
振動伝達率τ=1/{(f/f0})2-1}
振動の距離減衰
振動の距離減衰=L0-20nlogr/r0-8.7λ(r – r0)
- L0:基準点での振動加速度レベル
- r0:発生源から基準点までの距離
- r:発生源から測定点までの距離
- λ:地盤の内部減衰係数
- n:幾何減衰係数(表面波:0.5、表面波と実体波が混在:0.75、実体波:1.0、表面を伝搬する実体波:2.0)
吸音ダクト形消音器の伝達損失の公式にダクト長さがないです。
ご指摘ありがとうございます。
修正しましたので、ご確認ください。
お返事遅くなりました。
修正確認しました。
私事ですが先日、騒音振動を受験してきました。
自己採点ですが無事合格見込です。
過去問の解説ありがたかったです。
ありがとうございました!
R4年騒音振動試験の解説を是非お願いします!
順次作成していますので、しばらくお待ち下さい!
とうとう明日が試験日ですが公害こむのおかげで合格できそうです。
テキストや過去問集の解説はどうも文章が無機質で、頭が理解を拒むのですが、ピエうささんの人間臭さの香る解説のおかげで脳が情報を歓迎しました。
騒音振動の学習は周りに頼れる人がいず、他の「公害防止管理者」解説サイトでも取り扱っていないので本当に助かりました。
だいぶ気が早いですがお礼申し上げます。
私見ですが今日まで騒音振動の勉強してて思ったことを徒然と書かせていただきたく。
貴ブログ運営の参考にしていただければ幸いです。
①対数の扱いに慣れているかどうかで難易度は大きく変わる
「Logの中身の指数をLogの外に出せる」
「Logの外の係数をLogの中身の指数にできる(右肩に乗せられる)」
を理解しているとかなり楽になる
公式の言わんとする本質が見えて覚えやすくなる
覚える必要のない公式も見えてくる
②常用対数の1~10を丸暗記してるとかなり楽になる
Log1 = 0
Log2 ≒ 0.3
Log3 ≒ 0.5 (もう少し精度がいるなら0.48)
Log4 ≒ 0.6
Log5 ≒ 0.7
Log6 ≒ 0.8 (もう少し精度がいるなら0.78)
Log7 ≒ 0.85
Log8 ≒ 0.9
Log9 ≒ 0.95
Log10= 1
Logπ≒ 0.5
精度はこの程度で十分
これだけ覚えてたら常用対数表に頼る必要はほとんどない
また、各種公式の理解にも繋がる
「点音源から倍距離離れる毎に-6dBってのは音のエネルギーが1/4になるから -10Log4 = -10×0.6 = -6dB ってことか」
「50dB +50dB = 53dBってのは音のエネルギーが倍になるから 10Log2 = 10×0.3 = +3dB ってことか」
「-11dBってよくでてくるけど 10Log(1/4π) のことか」
など
③振動の距離減衰の式が覚えにくい
テキストでも基本的に
L=L0-20nLog(r/r0) -8.7λ(r – r0)
の形で載ってるが、Logの係数の「-2n」を中身に移して、r/r0の分母分子も入れ替えて-1乗を外して
L=L0 +10Log(r0/r)^2n -8.7λ(r – r0)
の形にした方が覚えやすく、式の主張も見えやすいと思う
Logの中身は「距離の2n乗に比例して減衰する」を意味し、音の拡散の「Q/4πr^2(距離の2乗に比例して減衰)」の思想と繋がるので覚えやすい
④音圧の記号pと音響パワーの記号Pが同じアルファベットなのが非常に困る
それぞれpressureのpとPOWERのPが由来は分かるけど……もっとこう……あるだろう?
困ったのは、音圧レベルと音響パワーレベルの計算式で音圧はLogの中身がpの2乗で、音響パワーはPの1乗と違う点
理解が十分でない時点での学習ではホント混乱する
「さっきの問題の解説ではpの2乗してたのにこの問題は1乗なのなんで?」と何度かなった
試験お疲れ様でした。
私が作成した解説について、様々にコメントしていただき、運営の参考となりました。
また、コメント返信が遅くなったこと、返信しきれなかったコメントがあったことは、申し訳ありませんでした。
少しでも試験勉強のお役に立てていたようですので、今後の励みになります。
吉報をお祈りしております。